お弁当を作り続けていると、「曲げわっぱ」のお弁当箱が気になってくる方も多いはず。
曲げわっぱならではの木のぬくもりや、ナチュラルな雰囲気はやはり魅力的ですよね。
しかし「お手入れが大変そう」、「カビが生えたりしないの?」といった、使い勝手を心配する声もよく耳にします。
曲げわっぱのお弁当箱は、プラスチック製品とくらべるとたしかに扱いに気を使いますが、お手入れがラクな曲げわっぱを選びさえさえすれば、お弁当作りが格段に楽しくなるのです。
ここでは、後悔しない国産の曲げわっぱ弁当箱の選び方と、実際に使用してみた感想をあわせてご紹介します。
曲げわっぱ弁当箱には3種類ある
曲げわっぱのお弁当箱は、大きく分けて次の3種類があります。
・無塗装の曲げわっぱ
・うるし塗りの曲げわっぱ
・ウレタン塗装の曲げわっぱ
あとで「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないように、それぞれの曲げわっぱの特徴とメリット・デメリットを知っておきましょう。
無塗装の曲げわっぱ弁当箱
1つ目は、何も塗装を施していない曲げわっぱのお弁当箱です。
無塗装なので、美しい白木の質感と杉や檜のよい香りを楽しめるのが特徴。
無塗装の曲げわっぱのメリット
無塗装の曲げわっぱ弁当箱のメリットは、木の持つ調湿性によって余分な水分を吸収してくれるため、ご飯がベチャッとせずにふっくら美味しい状態を保てること。
「冷めてもご飯が美味しい」という魅力を、もっと実感できるのが無塗装の曲げわっぱです。
また、杉や檜には抗菌作用があるため、食材が傷みにくい点もメリットと言えるでしょう。
杉や檜の香りがほのかにするのも魅力です。
無塗装の曲げわっぱのデメリット
無塗装の曲げわっぱのデメリットは、少々お手入れが大変なこと。
食材に含まれている油や色素なども染み込んでしまうため、唐揚げなどの揚げ物や、ケチャップ・カレーなどを使った色の濃いおかずはシミになりやすいのです。
シミになりやすいおかずを入れるときは、ワックスペーパーを敷いたり、カップを使ったりするのがおすすめ。
また、洗剤が使えないため、お湯だけでお弁当箱を洗う必要があります。
洗ったあとは布巾で水分をとり十分に乾燥させないと、カビや黒ずみの原因になるため、注意しなければなりません。
長持ちさせるためには連続して使わずに、1日おきに使うようにしましょう。
無塗装の曲げわっぱ弁当箱に向いている人は?
無塗装の曲げわっぱ弁当箱に向いているのは、次のような人です。
■お弁当で美味しいご飯を食べたい人
■杉や檜の香りを楽しみたい人
■詰め方の工夫やお手入れがきちんとできる人
■シミになっても味わいとして楽しめる人
▼無塗装の曲げわっぱ弁当箱といえば、「栗久」さんが有名ですね。
うるし塗りの曲げわっぱ弁当箱
もう一つは、白木の曲げわっぱにうるしを塗ったお弁当箱です。
全体的に濃い茶色をしています。
うるし塗りの曲げわっぱのメリット
うるし塗りの曲げわっぱ弁当箱は、木のもつ調湿性が保たれているため、ご飯がベチャッとならず、時間が経ってもおいしくいただけます。
うるしには殺菌効果があるため、無塗装の曲げわっぱ弁当箱と同様に、食品が傷みにくいのもメリットのひとつです。
油染みや色移りもしにくいので、色々なおかずを気にせず詰めることができます。
さらに、うるし塗りの曲げわっぱは耐久性が高く、洗剤を使って洗うこともできるので、無塗装のものよりもお手入れがラクになります。
うるし塗りの曲げわっぱのデメリット
うるし塗りの曲げわっぱ弁当箱のデメリットは、価格が高いこと。
完成した白木の曲げわっぱに、さらにうるしを塗る工程が必要となるため、どうしてもその分価格が高くなってしまうのです。
人によっては、うるしのにおいが気になることもあります。
また、これは好みもあるでしょうが、うるし塗りだと白木ならではのナチュラル感が楽しめないという点も挙げられます。
やはり白木がいいという方は、無塗装か次でご紹介するウレタン塗装の曲げわっぱをおすすめします。
うるし塗りの曲げわっぱ弁当箱に向いている人
うるし塗りの曲げわっぱ弁当箱が向いているのは、次のような人です。
■お弁当で美味しいご飯が食べたい人
■できるだけお手入れをラクに済ませたい人
■シミになるのを気にせずおかずを詰めたい人
■多少値段が高くてもよいものを選びたい人
▼大館工芸社には、ご飯が美味しいうるし塗りの曲げわっぱ弁当箱もあります。
ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱
3つ目は、ウレタン塗装が施された曲げわっぱのお弁当箱です。
曲げわっぱの表面を、安全無害なウレタン樹脂でコーティングしています。
ウレタン塗装曲げわっぱのメリット
ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱の最も大きなメリットは、使いやすくお手入れがラクなこと。
塗装してあるおかげで、食品の油や色素などが木地に染み込んでシミになる心配がありません。
そのため、唐揚げなどの揚げ物やケチャップやカレー粉を使った色移りしやすいおかず、チャーハンなども安心して入れられます。
また、洗剤を使って洗うことができるのはもちろん、きちんと拭いて乾かせば、毎日でも使えるのも嬉しいメリットです。
普通に使っている限り、カビや黒ずみを心配する必要もほとんどありません。
美しい白木の木目や風合いなどはそのまま、機能性を高めたお弁当箱と言えるでしょう。
ウレタン塗装の曲げわっぱのデメリット
一方、ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱のデメリットは、表面がコーティングされているため、杉や檜の調湿性や抗菌作用があまり期待できないこと。
無塗装やうるし塗りの曲げわっぱとくらべると、ご飯の味はどうしても落ちるかもしれません。
ご飯にこだわる方は、無塗装か漆塗りの曲げわっぱを選んだ方がよいかもしれませんね。
ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱に向いている人
ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱は、次のような人に向いています。
■曲げわっぱ初心者さん
■お手入れがラクで扱いやすいお弁当箱がいい人
■シミを気にせずいろいろな種類のおかずを詰めたい人
■複数持たずに毎日曲げわっぱを使いたい人
■子どもに使わせたい人
曲げわっぱ初心者にウレタン塗装の曲げわっぱをすすめる2つの理由
私が愛用しているのは、秋田の「大館工芸社」さんの曲げわっぱ弁当箱です。
大館工芸社さんのお弁当箱には、ウレタン塗装が施されています。
無塗装の曲げわっぱに憧れる気持ちもありますが、用途やライフスタイルを考えると、大館工芸社さんのお弁当箱に軍配が上がりました。
その2つの理由をご紹介します。
1. ウレタン塗装でお手入れがラク
私も曲げわっぱ弁当箱を購入するか悩み始めたときは、自分に使いこなせるかが心配でした。
一般的なお弁当箱の値段より高いので、手にしてから後悔することだけは避けたかったのです。
実際のところ、私は曲げわっぱ弁当箱を購入したことを全く後悔していません。
むしろ思っていた以上に使い勝手がよくて、「買ってよかった~!」と使うたびに思っています。
子どもにも安心して使わせることができる
わが家で曲げわっぱ弁当箱を使っているのは高校生の娘ですが、何度かお弁当箱を学校に忘れてきたことがありました。
めったにないこととは言え、食べたあとの曲げわっぱをまる1日放置するなんて恐ろしすぎます…。
ましてやこれが無塗装だったら…と考えると悲鳴をあげたくなりますよね 笑
翌日持ち帰った曲げわっぱのふたを恐る恐る開けてみましたが、色移りやシミもなく無事でした。
また、子どもがバッグを倒して中身がふたにについたとしても、ウレタン塗装なら大丈夫。
曲げわっぱ自体は密閉性がないので汁もれの可能性はあるものの、油や色が染み込む心配はありません。
取り扱いが雑になりがちな子どもにも、安心して使わせられる曲げわっぱ弁当箱です。
洗いやすくてキレイなままキープ
ウレタン塗装の曲げわっぱは洗剤が使えるので、油っぽい汚れもきれいサッパリ落とすことができ、清潔に使えるのも嬉しいポイントです。
洗い終わったらふきんで拭いておけば乾くので、翌日も使えます。
大館工芸社さんの曲げわっぱ弁当箱を使い始めてから、8年くらい経ちますが、黒ずみやカビ、シミ、色移りも一切なく、キレイな状態を保つことができています。
曲げわっぱの初心者さんにもお手入れがラクで、毎日気持ちよく使えるという点で、ウレタン塗装のお弁当箱をおすすめします。
2. メニューを選ばずに詰められる
毎日のお弁当となると、揚げ物やケチャップ・カレー味のおかずなどを入れたいときがありますよね。
無塗装の曲げわっぱ弁当箱にこのようなおかずを詰めるときはカップを使ったり、ワックスペーパーを敷いたりしますが、どうしても隙間からソースや油が漏れたり、ふたについたりする心配も…。
陶器の器と同じように、たとえシミができたり色移りしたりしてもそれも個性として受け入れ、「育てていく」感覚で使っていくという考え方もあります。
しかし私のようにお弁当箱を子どもに使わせる場合や、揚げ物や色の濃いメニューをよく作る場合は、シミや色移りを気にせずに好きなメニューを入れられる方がずっとラクです。
ご自分の使用用途や食の好み、ライフスタイルなどに応じて曲げわっぱ弁当箱を選んでみてくださいね。
国産の曲げわっぱ弁当箱にこだわろう
曲げわっぱのお弁当箱といっても、2,000~3,000円くらいの安価なものから1万円前後の高価なものまでさまざまな種類があります。
値段の違いはどこにあるのでしょうか。
国産の曲げわっぱは値段が高め
曲げわっぱの値段は、国産製品か海外製品かによっても違ってきます。
国産の杉や檜を使い、伝統と確かな技術によって国内で作られている曲げわっぱのお弁当箱は、どうしても価格が高くなります。
一方、中国など海外で作られている曲げわっぱは安価なものが多いようです。
もしもどちらを選ぶべきかと聞かれたら、私は迷わず「国産の曲げわっぱ弁当箱」をおすすめします。
その理由を以下でお伝えしますね。
海外製の曲げわっぱで後悔した体験談
私が最初に購入したのは、大館工芸社さんの「梅花弁当」でした。
しばらく使っているうちにすっかり曲げわっぱの魅力にハマった私は、夫用にも1段の曲げわっぱが欲しくなったのです。
うちの夫はよく食べる人なので容量の多いものが欲しかったのですが、国産の曲げわっぱにはちょうどよいサイズが見つかりませんでした。
そこで、ものは試しにと3,000円くらいで、海外製の曲げわっぱ弁当箱を購入してみたのです。
サイズ的にはちょうどよかったのですが、2年ほど使ったところでお弁当箱の底に隙間ができて、そこから汁漏れするようになってしまいました。
残念ながらこの曲げわっぱは捨てるはめになり、とても後悔しました。
海外製品がすべてダメとは言いませんが、やはり値段が安い製品には素材やつくりにそれなりの理由があるのではないかと思います。
国産の曲げわっぱ弁当箱は今も現役
一方、それ以前に購入した国産の曲げわっぱ弁当箱の方は、トラブル一つなく8年以上経った今でも現役で使えています。
多少高くても本当によいものを購入したほうが、結果的には長持ちしてお得なのかもしれませんね。
国産メーカーであれば、自社製品の修理に対応してくれるところもあります。
使い捨てではなく、壊れたら修理をして長く使っていくスタイルも素敵ですよね。
▼お弁当についてはこちらにもくわしくまとめています。
まとめ:使いやすい曲げわっぱ弁当箱でお弁当ライフを楽しもう
曲げわっぱのお弁当箱を購入して後悔しないためには、用途やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
油染みや色移り、カビ、黒ずみが心配な方や、面倒なお手入れは避けたいという方におすすめなのが、ウレタン塗装の曲げわっぱ弁当箱。
揚げ物や色の濃いおかずも気にせず入れられ、洗剤で洗って拭いて乾かすだけとお手入れもとても簡単です。
また、曲げわっぱのお弁当箱を選ぶ際には、国産品にこだわりたいもの。
国産の木材を使用しているため価格は高くなりますが、伝統とたしかな技術に裏付けられた高品質な製品であるため長く使うことができますよ。
この機会にあなたもぜひ、曲げわっぱのお弁当箱に挑戦してみませんか?